祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし
たけき者もついには滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ
有名な平家物語の冒頭部分です。
この平家物語というのは栄華を誇った平氏が源氏に討たれるという、
武家の栄枯盛衰を描いた軍記物ですが、人の世もまさに同様。
人の一生というのはなんと儚いものでしょう。
この度、祖母が亡くなったことで父方母方両方の祖父母が鬼籍に入りました。
今年の2月に祖父が他界した際には、臨終に間に合わずなんとも悔しいというか
残念な気持ちでいっぱいだったので、葬儀で名古屋に帰省した際
祖母に言った言葉があります。
「おばあちゃんが逝ってしまうときには、絶対に待っててね」
なんとも自分勝手な言い分ではありますが、その時におばぁちゃんは
「わかったわかった。待ってるから大丈夫。あっくんに後悔はさせないようにするから」
と言ってくれたのです。
祖母は今年の6月頃から入院し、人工呼吸器をつけていました。
ただ、順調に回復しており秋口には退院できるだろうというところまできていて、
僕自身も秋に帰省した際には話ができるかな?と考えていたのです。
そして今回、連休で名古屋に帰省をした翌日にはおばあちゃんのところへお見舞いに行きました。
呼吸器はまだつなげたままでしたが、酸素の量などはかなり減っており順調な回復を見せていたため、ひと安心して数時間筆談などをしていました。
のどを切開して呼吸器をつけているため、口にできるのはトロミを付けたものしかNGで
お茶が大好きな祖母にはかなりストレスがたまっていたようで、サラッとしたものが飲みたいと筆談で書かれましたが、とろみがないと気管に入ってしまう可能性があるので、飲ませてあげることはできません。
なぜそんなに嫌がるのだろう?と思った僕は、緑茶で作ったとろみをつけたその飲み物を飲んでみたんですが、それは祖母が嫌がるようにまるでカタクリを飲んでいるような感じで、おいしいもんではありませんでした。親戚衆もそれを飲んでみればいいのに・・・と思いながらも、そこまでは気が回らないのだろうと思い、味の濃い黒烏龍茶で作ってあげて飲ませてあげると、オイシイと言ってくれました。
そして、明日またくるね!と言い帰宅。
次の日はお彼岸の入りで、お墓に参った後に病院へ向かう予定でした。
しかし、寺へ向かう途中に叔父から電話があり、急変したからすぐに病院へ向かってくれとのこと。すぐに病院へ向かいました。
病院へ着くと、あわただしく処置をする医師やナースの姿。
昨日までは調子よかったのに何故こんなことになっているのか・・・混乱しました。
そして一旦は落ち着いたものの、急変から9時間ほど経って徐々に脈拍が弱くなってきました。
医師からは手は尽くしたので、あとは本人の気力と体力に任せるしかないという言葉。
・・・
息を引き取る間際、母が泣きながら医師に水を飲ませていいか尋ねると、医師の許可が出た。
その時に僕はもぅ 祖母は逝ってしまうのだと確信した。
とろみの付いていない水を口に含ませると、満足そうに2度・3度と飲み込む祖母。
意識はもぅないはずなのに、おいしそうに口元がほほ笑んだ。
そして、それから数分後に心臓は仕事を終えて祖母は永い眠りについた。
しばらくは喪失感に襲われましたが、この後の葬儀の準備のことなどしなければならないことが山積している。
僕自身は、嫁に出た母の息子なので直接祖母の家の葬儀をすることはないのだが、祖母にとって僕は初孫であり、孫の中では最年長なので喪主の叔父とすべてを仕切るのが当然だ。
民生委員や児童委員などをしており、大臣表彰も受けている祖母の葬儀には現役の市長が自ら葬儀の受付をしてくれた。
喪主である叔父と一緒に色々と葬儀の手続きをして、3日間の葬儀を終えた。
リフレッシュ休暇ということで名古屋に帰省したのだが、大変な1週間になってしまった。
でも、間に合ってよかった。
最期に今は亡き祖母にひとこと伝えたい。
「おばぁちゃん 約束を守って僕をまっててくれてありがとう。」
「おばぁちゃんが心配しなくてもいいように、家のことはおじちゃんが。孫のことは僕が面倒をみるから、安心して眠ってください。」
祖母の葬儀に際して、励ましのメッセージをくれた皆様。すごく勇気づけられました。
心からありがとう。そしてこれからもよろしく^^
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