今回はチョットだけマジメに・・・10年後の未来を音楽中心で考えてみた。
2010年:2000年からの10年間で人の価値観は大きく変化した。
見えるもの同士の取引から見えないものと見えるものの取引というのが一般化したのである。
旧来、見えるものと見えないものとを取引する場合に使用されていたのはクレジットという方式であった。
しかし、現在では電子マネーでの取引は普通のこととして受け止められ、レジが認識さえすれば、そこに対価が残らなくても取引は完了する。
それが例えハックされて正式な手順を経て入手されていないデータだとしても取引は成立してしまうわけである。
もちろん貨幣という見えるものの取引においてもニセ札というものがあり、正式な手順であるなしに関わらず、人間が認めればそれが通貨として通用するわけだから、同じといえば同じだ。
そして近年では見えないもの・触れられないものとの取引というものが一般化しつつある。
CDが売れなくなり、HMVが閉店するなど音楽業界ではその動きが顕著だ。
Apple社の売りだしたiPod。それの普及に伴い、同期が必要なiTunesも普及した。そこには音楽がダウンロードできるストアがあり、人はクレジットやiTunesカードでそれをダウンロードする。
旧来は音楽を買おうと思えば、アナログレコード・カセットテープ・CD・MDなど目に見えるメディアに保存されたものを、メディアと一緒に購入するという方式であった。
それが、データだけを売買する時代になったのである。
データを購入するということは、誤って消してしまったりした場合にも原則的に復旧はできない。消えてしまうということだが、それに人はお金を払うようになったのである。
これは映像でも同様で、メディアとして保存されたものを購入するのではなく、ボタンを押せば消えてしまうものにお金を支払うようになったわけだ。
人類の取引の歴史はいわば物々交換というのが原則だ。
魚が欲しい人は、肉が欲しい人とそれぞれを交換をしたり、石に価値を持たせてそれを通貨としたりしていた。
現在の貨幣もただの紙や鉄や銅やアルミニウムがその価値を国から保証されているという1点で通貨として利用できるのである。
それが、これからは手に触れることができないもので購入するということが可能になるわけである。
そしてそれも、手に触れないものを購入するという。昔の人が考えればなんとも不可思議な状況だ。
そして、手に触れられるからこそ価値があるという前提でモノづくりをしていた人たはどんどんと廃業していくだろう。
CDのプレス工場やビデオテープのメーカー、今流行のブルーレイだってそのうち不要になる。
パソコンで音楽を聞くのにハードディスクは記憶装置として必要だというふうに考えることもできるが、インフラの整いつつあるクラウドが完成して、どこからでもアクセスできる状況が整えば、端末さえ持っていればPCすら不要になる人は多いだろう。
そして、消費者による取捨選択はさらに激しくなる。
今まではシングルカットさえしなければ、10曲入り3,000円のアルバムは10曲入りで3,000円支払わなければいけなかった。1曲のヒット曲と9曲の糞曲だったとしても、その1曲のためにアルバムを購入したわけだが、iTunes Storeでは欲しい曲を1曲単位で購入が可能だ。
要はおまけが欲しい人はオマケだけ購入できるグリコみたいなもんだ。
ビックリマンシールが流行ったときに、シールだけ抜き出し菓子は捨てるという行為が横行したが、そういった行為がなくなるに等しい。
ただ、アーティスト側からすれば複雑な面もあるだろう。
10曲入りのアルバムは、10曲が合わさることで、その世界観を表現できたりということもある。これからは1曲1曲それだけで自分の表したい世界観を表現しなければならないことが増える。
消費者は本当にいいものだけを選ぶ目が養われるかもしれない。
レーベルの壁も相当に低くなるだろう。今までメジャーレーベルというのはプレスしたものを販売する販路を確保しているからこそメジャー足り得たわけで、ダウンロードが主流になってしまえば、弱小インディーズでもいい曲を出せば売れるわけである。
今まで、色々なしがらみで曲を出せなかった人たちが続々と発掘される可能性も大だ!
ただ、アーティストが個人でUPしたものを消費者が購入できれば、レーベルというもの事態も必要なくなると思うがね・・・
そして国家も変化していく可能性は高い。電子マネーであれば国の造幣局は必要ない。
世界で共通の通貨を使用するということも技術的には可能だ。
貨幣価値を標準化してしまえば、あとは国の格差なども貨幣価値で表わされることになる。
たとえば世界通貨をワルドと仮定すると、卵を一つ買うのに必要なのは日本なら30ワルドであってもアメリカなら50ワルドかもしれない。
通貨のやり取りは、通常外為市場で行われているが、通貨が統一されれば外為の市場そのものが必要なくなる。
そして銀行という機関も現在よりかなり減るだろう。通貨の発行はIMFだけがやればいいのだから、各国の造幣所職員は大変だ。
日本においても日銀の役割はなくなる。
2010年、音楽や映像だけでなくアプリケーションやその他サービスなど見えないものを見えないもので取引することが受け入れられ始めた現在。
ここからの10年間で何が生まれて、何が消滅していくのか・・・
マンガの世界ではないが、世界政府なるものが誕生して国家は一つになるかもしれない。
その時あなたは生き残れますか???